肌の保湿
普段、いろいろなスキンケアアイテムを使って入念に肌のお手入れを行っているつもりなのに、頬や口もと、目の周りがカサついたり、洗顔後の肌につっぱりを感じたりするのは、肌の保湿力が低下しているサインかもしれません。
肌の保湿力をキープするには、どんなケアが必要なのでしょうか。また、保湿力を低下させる原因には、どのようなことがあるのでしょうか。肌が乾燥する原因をしっかり知ることで、さまざまな肌トラブルを引き起こしやすい乾燥肌を未然に防ぎましょう。
肌のうるおいを保つ3つの保湿因子
肌の保湿力とは、私たちのからだが肌にもともと備わっている保湿成分をつくり、角質層内に水分を蓄えておく力。つまり、肌がどれだけうるおいを保てるかは、角質層の保水力に左右されるとも言えます。
角質層を構成するのは、「天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)」、「細胞間脂質」、「皮脂」の3つの要素です。この3つの保湿因子が十分にある状態で、肌のバリア機能*が正常に働き、肌のうるおいが一定に保たれます。
NMF
アミノ酸が主成分で吸湿性と保湿性に富み、角質層の中で水分を保持します。細胞間脂質
角層細胞の間にある脂質のことで、セラミドを中心とした成分が何層にも重なって水分を挟み込みキープします。
角質層のうるおいの80%以上は、この細胞間脂質が守っています。皮脂
皮脂にはスクワランなどの成分が含まれ、皮脂膜を形成して肌表面を覆い、水分の蒸発を防ぎます。
*肌を保護する機能
肌の保湿力が低下する原因
肌にはもともと水分を閉じ込めたり、外的刺激から肌を守ったりするためのバリア機能が備わっています。このバリア機能があるおかげで、肌のうるおいは保たれています。肌のバリア機能が低下すると、肌から水分が蒸発しやすくなります。また、角質層の保湿成分が減少することでも、肌の保湿力は低下します。それらが起こる原因として、以下のようなことがあげられます。
季節や紫外線など環境の影響
気温が急激に下がる秋から冬にかけて、空気がとても乾くようになります。また冬以外でも、冷暖房が効いた室内は常に空気が乾燥しています。このような環境に長時間いることで、角質層から水分が奪われ、肌が乾燥しやすくなってしまいます。
また、紫外線を浴びると肌のバリア機能が低下し、肌の内部で水分を維持できなくなり、乾燥の原因となります。さらに、肌はバリア機能が低下したことを感じると、自ら肌を守ろうと角質を肥厚させます。角質が分厚くなると肌内部への水分補給も難しくなってしまうため、肌はますます乾燥してしまうことに。日焼け対策を怠ると、乾燥肌の悪循環を生み出すことになります。
肌のターンオーバーの乱れ
肌はターンオーバーと呼ばれる新陳代謝をくり返すことで、角質細胞を定期的に入れ替え、肌のバリア機能を最善の状態に維持しています。しかし、睡眠不足やストレス、バランスの悪い食生活などによってこのターンオーバーのサイクルが遅れると、水分の少ない古い角質細胞がいつまでも肌に留まってしまい、乾燥肌が進行します。一方で、過度なピーリングなどでターンオーバーのサイクルを早めすぎると、角質層が未成熟な角質細胞ばかりで形成されてしまいます。その結果、水分を適度に保てなかったり、些細な外的刺激に敏感に反応して肌が荒れるなど、乾燥が進む原因となります。
間違ったスキンケア
クレンジングや洗顔のたびに肌をゴシゴシと強くこすったり、スクラブ洗顔や毛穴パック、ピーリングなどを頻繁に行うと、角質層が傷ついてしまい、水分が逃げやすい肌状態になってしまいます。また、洗浄力の強いクレンジング剤や洗顔料を使用したり、熱いお湯で顔を洗ったり、洗顔の回数や頻度が多すぎるのもおすすめしません。汚れとともに肌の保湿成分まで洗い流してしまい、肌の保湿力低下につながります。
洗顔後、肌につっぱりを感じるのであれば、普段使用している洗顔料や洗顔方法を一度見直してみましょう。
年齢と乾燥
肌のうるおいを保っている様々な保湿成分は、年齢とともに減少していきます。それにともなって肌のバリア機能も低下し、紫外線や花粉、空気中のほこりなどの外部からの刺激に弱くなってしまいます。一方、赤ちゃんは肌のバリア機能が完成していないことから、乾燥による肌トラブルを起こすことがあります。このように、バリア機能の低下による肌の乾燥は、年齢を問わず起こりうるのです。
正しい保湿スキンケア
では、肌の保湿力が低下するのを防ぐためには、どのようなケアが必要なのでしょうか?正しいスキンケアの方法を知って、肌トラブルのもととなる乾燥肌の対策をしましょう。
洗顔はやさしく丁寧に
洗顔の目的は、肌についたほこりやメイク汚れ、酸化した皮脂などを落とすことです。しかし、洗顔のしすぎは肌に必要な皮脂や保湿成分まで取り除いてしまう可能性があります。洗顔では、まず手の汚れや油分をきちんと落としてから、洗顔料をたっぷり泡立て、泡をクッションにしてやさしく洗いましょう。すすぎは必ずぬるま湯で行い、洗顔料が肌に残らないよう丁寧に洗い流してから、清潔なタオルを肌に軽く押し当てるようにして水気を拭き取ります。
洗顔後はただちに保湿を
洗顔後は肌がとても乾燥しやすい状態です。すみやかに基礎化粧品を用いて保湿ケアを行うことで、肌の乾燥を防ぐことができます。まずは化粧水で水分を補い、肌を整えてから美容液や乳液、クリームなどで保湿成分や油分を補いましょう。化粧水や乳液を手の熱で少し温めてから顔に伸ばしたり、保湿ケアの最後に両手で顔をやさしく包み込んだりすると、スキンケアアイテムが浸透しやすくなります。
保湿成分を補う
角質層をすこやかに保つには、角質層そのものを育てて、成熟した状態を維持する必要があります。そのためには、角質層のうるおいと皮脂のバランスを整えることが大切です。下記のような成分を化粧品で補うことにより、肌の保湿力をキープすることができます。▪水分をつかむ性質があるアミノ酸
▪水分を挟み込んでキープするセラミド
▪肌表面に蓋をして水分の蒸発を防ぐスクワラン、ホホバオイル